現在テンリュウのフェイテスベネット744というロッドを所持しているが。このロッドはグラスのようなフィーリングを低弾性カーボンを用いて再現したロッドだ。このロッドを使っていて思ったことがいくつかあるので書き留めたい。
確かに楽しい
フライフィッシングという釣りは紳士の釣りといわれる(いわれてるよね?)だけあって道具立て、所作なんかも楽しみの一つとなる。その中でキャスティングは大きなウェイトを占めていて、キャスティングの優雅さや楽しさ、コントロール技術の巧拙などが重要視される。
フェイテスベネット744はこの楽しさ、優雅さといった部分に焦点を当てたロッドであり、簡単に言えば「使用感」を追求したロッドだ。使っていると柔らかなロッドはゆったりとしたストロークを自動的に作ってくれ、少しの負荷でもロッドが曲がるため肩の力を抜いたキャストができ、その結果スムーズにラインが伸びていく。その上グラスロッドより大幅に軽量なため負担も少ない。魚を掛けるとアベレージの20cm程度であっても大きく曲がる。尺近いヤマメ、イワナやニジマスの25cmを超えるサイズを掛ければかなりスリリングに感じる。確かにとても楽しいロッドではある。
実釣性能としての欠点
ただ使っているうちにいくつか気になる部分が出てきた。
一つ目に合わせ切れが多いと感じた。確かに自分は細めのティペットを使ってはいるが、そんなに大きく合わせを入れているわけではないと思うし、ある程度ピシッと合わせを入れないと合わせとして機能しない。柔らかく衝撃吸収性の高いロッドなら尚更である。自分が下手くそなのは重々承知の上だが、少なくとも適切な合わせを入れるにはある程度の技術を要するということになる。
二つ目に主にイワナを掛けた時だが、岩や倒木の下に潜られて万事休すという状態になることが度々あった。
上記二つの事象について考察してみる。
一つ目に関しては、合わせを入れるためにロッドを素早く持ち上げると、ロッドの柔らかさのために一瞬ティップが最初の位置より下がる。この次の瞬間にはティップは反発するわけだが、この動きの中でラインテンションが一瞬抜け、次の瞬間には反発力により速度の乗ったティップの重量分の衝撃がラインに加わることになる。このためティペットに意図しない強さの負荷がかかり切れてしまっているのではないだろうか。
二つ目については、ただロッドの柔らかさのために一瞬魚に主導権を握られているという状態だろう。根に潜る隙をロッドが与えてしまっていると考えることができる。
使用感と釣果は両立しない場合がある
以上のことから、使用感を求めたロッドが釣果を犠牲にする場合があると考えている。まあ根本的に考えれば、釣果を求めるなら渓魚なら餌釣り、アジならサビキやカゴ釣りでもするのが効率としては良いのだから、フライだのアジングだのをしている時点で釣果が全てという話ではない。しかし釣りをする上でそのレギュレーション上で釣果を求めるのもまた釣りである。自分の釣りに合った道具を選んだり、特性を理解して長所を活かし、短所をカバーするということも釣りの楽しみの一つということになるだろう。
よくよく読み返すと当たり前のことだとも思うけれど、今回は強く認識することになったため書き留めてみた。まあなかなか自分の思った物に巡り会えないのも釣りの難しさなんだよな〜。