いきなりですが、自分はいわゆるへの字テーパーとかカギ曲がりとか言われる先端を曲げない設計について、キモは反発の立ち上がりをコントロールすることだと思っています。
この記事ではそういう点から考察というか思ってることを書きます。

ダイワがいつからか推してますよね。への字テーパー。確かにダイワのへの字テーパーは結構しっかりへの字に曲がる感じはしますが、なんかへの字曲がりだなってロッドは程度の差はあれ結構あると思います。
もちろん各社、製法とか細かい塩梅みたいなものは異なると思いますが、要点としては
ティップの先端から曲がらず、その少し下(バット側)から曲がり始める。
ってところだと思います。
なんでそうするのか
メーカーの採用意図は知らないので、あくまで自分がそういう設計にしたいと思う理由を書きます。それは、
反発の立ち上がりを緩やかにするため
です。
適当にイメージを図にしてみました。

曲げ量っていうのは自分が勝手にそう言ってるだけでストロークとかなんでも良いんですが、ティップの先端持って曲げた量に対してどれぐらい強く反発するかっていうイメージです。そんで、仮に大体同じ長さとパワー感のティップA、Bを考えると、Aを基準とした時に、への字曲がりにすることでBみたいな感じにできると思ってます。
んで、Bみたいになって何が良いかというと、丸で囲ったあたりは曲げた量に対して反発の立ち上がりが緩い、つまり緩やかな反発を維持できる領域が増えるという感じです。
また、一方で曲げ量が0に近いと反発はBの方が大きくなると感じています。つまり初期はある程度ハリを維持できるってことで、例えば初期が柔らかすぎるとスタックしやすいとかで多少ハリは欲しいならBがいいかもしれないし、一方本当にゼロテンション近くを扱う想定なら初期から柔らかいAがいいかもしれません。
とはいえ、実際は曲げない長さもティップ自体の長さも、さらには先径もいくらでも調整できるわけで、さっきの話だと、Bでも長く/細くすることで初期の反発自体を下げることもできたりとか、ほぼAだけどほんの先端だけ曲げないとかも考えられます。まあ塩梅って感じですね。
で、これがなんで良いのかって話をいくつか書きますが、これもあくまで個人的な〜ってやつです。
ラインテンションをコントロールしやすい
ティップの反発の立ち上がりが緩やかになることで、ラインテンションのコントロールがしやすくなると感じています。状況としては、アジングとかシーバスのドリフトの釣りで潮の重みを感じながらキープするとか、巻きでも「この抵抗感で巻くと釣れるんだよ。」みたいな時ですね。
反発の立ち上がりが緩いということは、ロッドを例えば1°持ち上げた際に、上記Aだとラインテンションが10になるのがBだと5になる、みたいなことです。つまり、人間の入力に対してラインテンションの変化が小さくなるため、繊細なテンション調整がしやすくなると感じています。
食い込みを良くする
一定テンション掛けた状態で待つ→バイトって状況を想定すると、待ってる状態でティップが曲がってますよね、バイト時はそこからさらに食い込んで欲しいわけなので、できればそこから反発が急に立ち上がって欲しくはない。つまり、反発の立ち上がりが緩い領域が広い方が有利なんじゃないかなと思ってます。
自分は結構ここを重視していて、特にアジングとかチニングだと咥えてから離すまでの時間を稼ぎやすくなってる感覚があるので、ソリッドを削る時は好んでそういう作りにしてます。
操作性、操作感
曲がらない部分を作る=曲がりが一点に集中しやすくなるので、操作した時に曲がりの頂点があまり移動しない領域ができます。特にハイテーパーなブランクの先端を曲げない設計にするとこうなりますが、この場合曲がりの頂点までのバット側は棒に近くなるため、感覚を予測しやすくなると感じています。
自分の感覚的には特にボトム感じるとか流すとか待つとかって釣りではそっちの方が繊細な操作ができるという印象です。
ってとこが自分が採用したいと思う理由です。まあ今まで書いてたラグ感がどうこうみたいな話は概ねこういうことですね。
デメリット
一応デメリットはあるのかってことを考えてみます。
負荷が集中する
先にも書きましたが、曲がらない部分を作るとその分そうでない箇所に曲がりが集中しやすくなります。ロッド立てて曲げると直角に近い曲がりになっていく感じですね。なので負荷を逃す設計なり、耐えうる強度なりを考えないと疲労が溜まりやすいとか、最悪折れやすくなりそうです。
一方で、ロッドビルドでカーボンとかチタンのソリッドを継いで調子を作るという状況では、素のブランクに対してソリッド部は破断強度が高くなることが多いので、特にこういう曲げ方は作りやすいという面はあります。
シャープさは減る
反発の立ち上がりがマイルドになるのでティップが仕事してる範囲はその分感覚もマイルドになってる感じがします。特に曲がらない部分を長く取りすぎるとびろっとした感じになりやすいです。
特に操作面では、ルアーに瞬間的な動きを与えたい場合は不利になりやすいと感じます。瞬間的な動き=初速の立ち上げを早くしたいということなので、への字曲がりするとここを吸収してしまうイメージです。
最適レンジが狭くなる
ある程度意図を持ってそういう設計にする以上、そうじゃない領域はなんというか、ベストではない感じになりやすいです。なので極端にへの字曲がりするロッドはバーサタイルロッドとしては向かない気がしますね。たとえば、自分がビルドして使ってるノースのSMP762はマルチプラッギングブランクなわけですが、エギをしゃくったりするとなんか微妙ですね。しゃくった時にへの字曲がりの頂点部に突っ張りを感じて、全然できなくはないんだけど気持ち良くはないかなって感じです。
キャスト感覚
明確なへの字曲がりをするロッドは、反発力の立ち上がりの変化が大きくなるので、キャスト時に独特な感覚があるものがあります。まあこれもSMP762がそうなんですが笑。上記同様への字の頂点で反発が大きく変わるので、ルアーが軽めでバットまで曲げられないと棒振ってる感覚に近くなります。
ただ、軽量ルアーはティップに乗せてキャスト、重ければバットで背負うことができて意外と適応範囲は広いかも知れません。まあわかりやすいへの字になるロッドはハイテーパーになりやすいのでそういうもんではありそうです。
まとめ
割と色々書きましたが、厳密にいえば全てのロッドについて、先端の微小な領域は曲がってないはずですよね。への字にはならないけど、先端を曲げない設計っていうのは全てのロッドにおいてそうです。
まあこれは極端ですが、何が言いたいかといえば、先端を曲げないといってもその程度は無限にバリエーションがあって、結局はそういう手法を用いながら自分が求める性能を出すことが重要だと思っています。そのために、この記事がなんらか参考になれば幸いです。
以上